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第5回 「きなこの引越し大作戦!」ついこの間書いたのに、あぁこの時は本当に
まだまだこれからだと信じてたのになぁと思います。
カッコいい社長の姿、見に来てくださいね。
考えてみれば、社長が旅立ったのは
クライストチャーチに引越してきてから、きっかり7週間目。
あと10日で2度目の出所記念日という日でした。
こんなところも妙に潔いのですが
日が経つごとにしみじみ思うのは、
まさに「立つ鳥跡を濁さず」。
あっぱれな旅立ちでした。
社長の体調が悪くなったのは日曜の午後からで
私が看病をしたのは、実質たったの2日半。
たしかにご飯は食べなかったのですが
それは「食欲がなくてグッタリ」という様子では決してなく
何か見せるといつも通り「なんやなんや!」と寄ってきて
クンクン匂いをかぎ、食べるのかな〜と思うと

・・・と、プイッと横を向くという
普段と変らぬ頑固ぶり。
トイレもしかりで、ひどいときは1時間に1回ぐらいの
下痢が続いていたのですが、ちゃんと自分で外に出て
3段ある階段をヒョイヒョイッと上り下りしていました。
あんなに頻繁なトイレだったのに、
間に合わなかったのはたったの3回。
わが家はカーペットが紺色の部分と白い部分があるんですが
失敗のうち2回は紺色部分だったので、シミひとつ残っていません。
1回は白いカーペットの所でしたが
ちょうど置いてあった紙箱の上に、きちんと。
ですから、今となっては何の痕跡もありません。
せめてカーペットにシミでもつけてくれたら
それすらも愛おしかったのに、と思うのですが
でもそんなものが残っていたら、
私はきっといつまでもメソメソしているでしょうね。

心配していた咳もまったく出ず、
ハアハア言うこともなく、
ちっとも苦しそうではありませんでした。
(だからヨメが油断してしまったのですが・・・)
ただ、座ったり伏せたりの姿勢はつらかったんでしょう、
2日間ほとんど、あの仁王立ちでした。
寝るのも立ったままだったので、時々ガクっと崩れ落ち
ハッと目覚めてまた立ち上がる、という繰り返し。
きっとさぞや寝不足だったと思います。
ですから、朝起きて社長が横たわっているのを見た時は
一瞬「ああ、ゆっくり眠れるようになったんだな」と安心しました。
それくらい、普段と同じようにコトンと寝ていたのです。
身体の周りもちっとも汚れておらず
本当に寝ているみたいに、キレイなまま。
揺り動かすまで、まさか息をしていないとは思わなかったほどです。
あの黒くて大きな目は、クルンと開いたままでしたが
まるで、疲れたからちょっと横になってるだけ、みたいな顔でした。

その日の夕方、獣医さんと話をしたところ
それはたぶん発作を起こして、一瞬で亡くなったんだろうと
だからきっとちっとも苦しまなかったはず、と言われました。
発作を起こして家で逝くなんて、悪くない死に方よ、と。
看取れなかったことはたしかに悔やんでいるのですが
もしあのまま起きていて、夜中に急変したら
私は朝まで何時間も、1人で耐えなければならなかったことを思うと
泣き叫びながらも朝日が差して、青空が広がってきたのは
本当に社長の思いやりだったような気がします。
あれから5日。
毎日まいにち、抜けるような青空と暖かい日が続いています。
どうして私ひとりの時に逝ってしまったんだろう、と思っていましたが
気を紛らわすことなく、とことん悲しみと向き合うようにという
社長から与えられたミッションだったのかもしれません。

泣いて泣いて泣いて、何もする気が起きなかったトンネルを抜けて
なぜか猛然と、まさに「猛然と」という言葉がピッタリなほど
立ち上がって前に進む気力が湧き出してきました。
もうすぐ笑顔で見送れそうです。
社長、ありがとう。
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